資産防衛の日々

専業投資家:独自のルールに基づき割安成長株に中長期投資をしています。臨床工学技士として病院に勤めて4年後に「専業投資家」として独立。宝塚ファン。

#1 アルヒ(7198)はテールリスクがあるがビジネスは極めて順調。

終値株価1,859円。

明日は株トークで銘柄トークゲームにテーブルに参加するつもりです。そして、そこでアルヒ(7198)について話します。ですので、テーブルで話しやすいように自分用に書いていたレポート貼り付けておきますね。

アルヒについては、5月4日の朝日新聞報道(フラット35不正利用)によって暴落したことがキッカケで深く調べることになりました。このニュースで株価が暴落した瞬間、あきらかに市場が間違っていると思ったからです。

以下、自分用に書いていたレポート共有します。本当は株トークまで株価が低迷していたら面白かったのですが、一時1,414円の安値をつけた株価は、本日1,859円まで上昇しています。安値で買っていた投資家に比べるとリスクが上がっています。暴落時何を考えていたのかを共有します。ちなみにこのレポートは、ゆーぞー主催のイベント「ゆーぞー会」で発表したものと同じものです。https://twipla.jp/events/380317


2019年5月17日金曜日
アルヒ7198レポート

住宅ローン事業の単一セグメント。区分すべき事業セグメントはないが、業務区分ごとの内容は以下の通り。融資実行業務59%、債券管理回収業務12、保険関連収益5、ファイナンス事業24、他業務1

ストックビジネスではないが、ストック性が高いフラット35を中心に展開している。景気の影響を受けにくく安定したフィービジネス。融資実行すれば、債権は即日住宅金融支援機構に買い取ってもらう。フラット35は金融危機前から順調に件数を伸ばしている。


■シェアについて
住宅ローン専門金融機関でフラット35国内首位
2009年3月期シェア8%、2018年3月期シェア23%、2019年3月26%
2023年3月期にシェア40%を目指す。
住宅ローン市場は年間20兆円で安定している。その中のフラット35を得意とする。

2019年3月月期の融資実行金額7,353億円
2023年に年間融資実行金額1兆2,000億円目指す。同社はフラット35で、大手メガバンクを抑えて一位になっているのは圧倒的な審査スピード。ARUHIは、仮審査は最短当日、本審査は最短3営業日。通常、民間の住宅ローンでは審査に1週間~2週間程度。業界2位の楽天銀行は、仮審査に8~11日、本審査に7~14日。アルヒが抜きん出ていることがわかる。とくに中古物件は審査スピードが何より大切。ヒアリングした結果、不動産業者が口を揃えて言いました。


■不正流用問題について
5月4日朝日新聞が報じた、フラット35不正流用の記事で同社は暴落。
https://www.asahi.com/articles/ASM574TCWM57UUPI002.html

投資用に不正流用された可能性のあるものは全体の0.1%未満。
現時点で問題のある不動産融資の件数は50件あるが、これはアルヒが主導したのではなく、借り手や仲介業者の問題。そもそも、フラット35を不正に利用して不動産投資に使う問題はあったが、貸し手は一括返済を求めるなど厳しい。それでも不動産業者はフラット35を使っての不動産投資を強く勧める傾向がある。現時点での事実としては、アルヒは関わっていない。というより、フラット35の審査ではアルヒが去年から審査を厳しくしている。関西圏の不動産業者の間では、「アルヒは去年くらいから審査落としてばかりやから困るわ」という愚痴を聞く。アルヒについては他社に比べてもかなりコンプライアンスを意識していると思われる。


■新たな取組、その他ビジネス
受託ビジネス。大手銀行のフラット35業務を今年受託。メガバンクも同社の効率経営に太刀打ちできない。そもそも大手銀行は住宅ローンの”事務事業”を縮小させている。同社に受託を依頼し始めた。1つは顧客希望で会社名は言えない。もう1つはみずほ銀行。これもストックビジネスになり、銀行のフラット35の融資部門のコスト数分の一になるので、一度導入すればやめることはほぼありえない。今後、様々な銀行のフラット35業務を受託し、アルヒがローン会社のプラットホームになる。そのために戦略的に投資しているが、それでも今期は増収増益予想。いくらでも利益を出せるが、あえてこの程度の予想にして費用を多く見積もっている。

ローン回収のサービシング債権残高は3.5兆円で右肩上がり。安定した収益源になる。フィービジネスといい、ローン回収といい美味しいとこどりのビジネス。

スーパーフラット7を導入。


■直近業績について
今期は二桁増収増益
2020年3月期予想
営業収益272億5000万円14.3%増
税引前利益70億2000万円12.1%増
純利益48億5000万円12.5%増
1株益135.62円
年間配当金50円
配当性向36.9%
株価1,612円
今期予想PER11.89倍

中期経営計画では税引前利益CAGR15%を目標としているが、戦略的投資のため今期から2〜3年は上記のように15%未満の成長となる。戦略的投資は今後のプラットフォーマーを目指すための投資。

中期経営計画によると、2023年税引前利益は120億円
2020年3月期予想70億からの伸び率は71%
1株益も同様に71%伸びると仮定すると、231.91円。
さらに、同社は去年も今年も自社株買いをしており、実際にはもう少し1株益が高まる可能性。

CAGR15 %だとPERで15〜20倍で評価しても良いのではないか。
2023年3月期予想が意識される2022年、つまり3年後の目標株価3,478円〜4,638円。1,612円から考えると、2〜3倍は狙えるのではないか。


■代表取締役社長
浜田宏
1995年1月にデル・コンピュータ株式会社入社。2000年8月、代表取締役社長兼アメリカ本社の副社長に就任。社長就任後の6年間で日本での売上は約5倍の3100億円に成長。日本法人は世界第3位の規模に成長。日本におけるシェアは就任後2年で第10位から第3位、サーバーのシェアは第1位。
2015年2月にカーライル・グループ傘下に入り、浜田社長は2015年同社参画し。社名変更も主導した。浜田社長が会社にきて社名を変更する前には、商品企画部門もマーケティング部門も人事部門もなかったが、とてつもないスピードで社内体制を整え、2年半という驚異的なスピードで東証一部に直接上場した。


■テールリスク
仮に、アルヒが不正流用に関わっていたら、その証券を買い戻す必要あり。今のところその事実はないが、フラット35の不正利用は業界では当たり前の出来事。フランチャイズオーナーが関わっていないか、この辺は現時点で調べようがない。

フラット35関連のニュースが連日報道され、社会的にフラット35の存在意義が問われれば、フラット35が大きな収益源となってある同社は売られやすい。